今年の夏の甲子園は、四国勢が頑張りを見せてくれた事も素晴らしかったが、何よりも高知代表の明徳義塾が昭和53年の高知商以来の決勝進出を果たし、そして昭和39年に高知が優勝して以来の38年ぶりの優勝を果たしてくれた事が、最高の事だった。
大会が始まった当初、僕は抽選が終わった後の組み合わせを見た時に明徳はベスト8までは間違いなく進んでくれるだろうと思っていたが、そこから先は余り考えないようにしていたし、正直優勝するだろうとは思っていなかった。ただ、NHKなのか民放なのかはっきり覚えていないが、開会式の後のものだったと思うが、選手がテレビインタビューでハッキリと優勝を狙ってるといっているのが僕には印象的だった。
1回戦の酒田南戦、2回戦の青森山田戦はそれ程心配する事もなくテレビ観戦する事も出来たが3回戦まで進むと相手チームへの意識は変わってくるものである。なものだから、3回戦からは相手チームがどのような勝ち方をしてきたのか、或いはどのような選手がいるのか気にしながら観てしまっていた。その3回戦からの試合の中で最も追い詰められた心境に立たされたのが3回戦の常総学院戦だった。この試合の時には、もう駄目か、今年はここで終わってしまうのかと思わされてしまう展開となってしまったのだ。
序盤は明徳のペースで試合は進み4-1とリードもしていたのだが、テレビを離れている間に1点差に詰められていていた。そして7回には、同点にされてしまい続く8回表には4-6と勝ち越されてしまった。試合の流れは完全に常総学院に移ってしまっている。回はもう8回。2点差は厳しい。もう駄目かと思ってしまったのだが、8回裏2アウトからの相手のエラーからランナーが出ると、2番の沖田が思いもしない同点2ランを打ってくれたのだ。更に3番の森岡が打った瞬間にホームランかと分かるような一発を打ち、勝ち越された直後に一気に逆転をしてしまった。そして9回を逃げ切り勝った。この常総との試合に勝った事は、大きかったと思う。
準々決勝には何と四国勢4チームが全て残っていた。しかも前日の組み合わせの抽選で、第一試合から第四試合までに四国勢が分かれていて、もしも4チーム全てが勝てば、準決勝は四国勢だけが残る事になる。正直4チーム全てに勝ち残ってほしいと思っていたが、明徳、川之江そして尽誠学園は勝ち残る可能性は十分にあると思えたが、鳴戸工は前日の3回戦での玉野光南との接戦でエースの丸山がかなりの球数を投げていた。そして準々決勝の相手は強打のイメージの強い智弁和歌山。勝つ可能性はあると思っていても、かなり苦しい展開になるだろうなと思っていた。
試合は鳴戸工が先取点を獲り、丸山も何とか抑えていたと思うが、智弁和歌山のバッターが一巡した頃から打ち込まれてしまい、そのまま試合は智弁和歌山のペースで進んでしまった。
尽誠学園も初回に先取点を獲りいい流れで試合を進める事が出来るかと思ったが、中盤には同点に追いつかれる。しかし、直後にすぐに勝ち越したのだが、終盤にはまた追い付かれてしまい、8回には勝ち越されてしまった。9回にも必死に粘っていたのだが、追いつく事は出来ずに試合は終わってしまった。尽誠か鳴戸工のどちらかが勝ち残りそのまま決勝へ進んでいれば、四国勢による決勝も実現していた。それを思うと残念だが、どちらも本当に頑張ったと思う。
準決勝に残ったのは明徳、川之江、帝京そして智弁和歌山で明徳の相手は川之江だった。川之江には鎌倉という好投手がいた。彼は2回戦の浦和学院戦、3回戦の桐光学園戦でいいピッチングをしている。そして準々決勝では先発ではなく、6回からのリリーフによる登板だった。この事から、鎌倉は肩を休めた状態になるのだろうかと思うと、明徳打線でも余り打てる事はなく、かなり苦しい試合になるだろうなと思ったのだが、試合が始まってみると予想外な事に序盤から明徳打線は打ち込み、10-1と圧勝をしたのだ。
明徳打線は思ってたよりも強力なんだなと本当に驚かされてしまったが。
そして高知県勢としては24年ぶりの進出となった決勝の相手は智弁和歌山だ。エースの田林は準々決勝では登板はなく、準決勝では強力打線の帝京を僅か1点に抑えての完投。間違いなく明徳打線も余り点を獲る事は出来ないだろうと思った。また明徳のエース田辺は3回戦から4連投になる。肩にはかなり疲れがたまっているはずだ。強打の智弁和歌山を抑える事が出来るのか不安だった。勝ってほしい。優勝してほしいと思いつつ、かなり苦しい試合になるだろうと思っていた。
しかし、決勝はいい守備も影響してか初回から明徳のペースで進み、3回に先取点を獲り、4回には田辺と山口のホームランで3-0と差を広げ、5回に1点を返されるものの7回の集中攻撃から一気に4点を加え、7-1と差を広げた。そして9回に岡崎の一発から1点を返されたものの、最後のバッターをサードゴロに打ち取り、ついに明徳の優勝は決まった瞬間、グランドにいた選手達がマウンドに集まっていった。
僕も思わずテレビに向っていっていたが。
後から1回戦からの試合結果を改めて見てみれば、明徳が苦戦をしたのは3回戦の常総学院戦だけだったのではないだろうか。初戦の酒田南戦での得点は5点に止まっていたが、以外の試合は全て7点以上の得点を獲っており、失点も常総の6失点以外は全て2失点以内に抑えている。
今年の明徳は本当に強い、レベルの高いチームだったんだろうなと思ったよ。
そして優勝という感動を僕達にも送ってくれて本当にありがとうといいたい。
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