[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。



疲れた一日



11月5日の事だった。夕方の頃にとある公共機関より「自転車の修理をしてもらえるだろうか」と問い合わせの電話があった。僕の勤めてる店は自転車屋なのだから、当然「出来ます」と答えると、今度は翌日の何時頃に来てくれるだろうかと問われるので、一応これも答えはしたのだが、どうして翌日に修理を依頼してくるのかなと思ったりはしていたのだが、この時はどって事無いだろうと決め込んでいて、余り気にはしていなかった。
しかし、勝手な予想と現実とは滅多に一致する事は無いのだろうが、翌朝とある公共機関に行ってみると、面食らった思いにさせられ、店を閉じるまでほとんど修理を続ける一日となってししまう。

そこへ行くまでは一台の自転車がパンクをしている程度だろうと思っていたのだが、修理を求められたのは何と8台。しかも、悪戯をされていて前後のタイヤがパンクしているらしいのだ。台数を聞いただけで、これは大変な事になるなと思ってしまったが、更に自転車を見せられた時にはもう何ともいえなかった。
僕の勤める店には軽四トラックがない。だから、歩いて自転車を店に持っていかなければならないのだが、一度に持って行けるのは多くて2台だ。何回か店と機関を行き来しなければならないが、考えたのが8台全部を店に持って行ってから修理をするのではなく、まず3台だけを店に持って行き、3台の修理を終えるとその中の1台を乗って機関に戻して、改めて2台を店に持っていくであった。
こうした方が、少しでも時間を無駄に使わないですむんじゃないかと思ったからだが。

そして修理を始めてチューブを出して穴を探してみると、針で刺したのだろうか、並ぶように3つも開けられていた。しかもその間隔が微妙だったのだ。当時はMサイズとSサイズのパッチを店に置いていたが、3つの内2つは大きいサイズのMを使えば一緒に修理できるかどうかの間隔だった。
その為に、チューブを出す度に必ずパッチを当ててどのように貼るかを細かくチェックさせられてしまったのだが、すぐに気づかされた事がある。どのタイヤも同じように開けられているとなると、かなりの数のパッチが必要となるが、当時、店にはM、S共に6枚から8枚程度しかなかったのだ。
これだと早目に仕入れなきゃならないなと思い、1台が終わった時に近くの問屋のおんちゃんのとこへ行ってみたら、何という事か店が開いていない。これには焦った。店に戻るとすぐに電話をするが誰も出やしない。この日は休業のはずではないし、臨時休業の知らせも貼っていなかった。どうなってんだと思いつつ、とにかく3台の修理を片付け、改めておんちゃんのとこへ行ってみた。もしも、また店が開いてなかったら、ちょっと遠いが別の問屋へ行くしかないなと腹を決めて。
そしたら、店を開けてくれているではないか。すぐに駆け込み、パッチがほしいと言った。最初はいつも通りMとSサイズを一箱づつのつもりだったのだが、この日はMサイズよりも大きいLサイズも注文してしまった。

当初、依頼の内容を知った時は、遅くとも午後1時頃までには終われるだろうと軽く思っていたのだが、思うようにはいかないものである。8台以外にも別に修理の依頼がぽんぽんと入ってしまって、1時を過ぎた頃にはまだ4台目くらいだったろうか。
全く暇な時間も取らず、昼食も後回しにして作業をしていたのだが、時間が過ぎるばかりで中々思うように作業は進める事が出来ない。4台目辺りからだったか、段々と悪戯をした奴等が憎たらしく思えてきてしまってた。

昼食を取ったのは3時過ぎだった。簡単に終えて、すぐに作業に戻り4時を過ぎたとこで5台が終わってたろうか。この時には、何とか5時過ぎには全部が終えることが出来るかもしれないと思ったが、やはり甘かった。完全に終わったのは、5時半から45分頃だった。そして、最後の一台を機関に戻した時には6時を過ぎていた。
一日中ほとんど休む暇なく働いた日となってしまったが、この店に入ってこれだけ忙しく働かされたのは初めて。だが可笑しなもので、暇な時間が多い時よりも気持ちは楽しく思えていたのだ。体は疲れきってしまっていたのだが。



バナー
バナー