自然の脅威



昨年12月26日午前8時頃に、インドネシアのスマトラ島沖で巨大な地震が発生している。
そのニュースが日本で報じられたのは何時頃だったのかハッキリとは覚えていないが、 まずその震度数を知った時に驚かされた。当時はM8.9と報じられていたのではないかと思うが、実際はM9.0だったらしい。
その数字を知っただけで、もの凄い地震が起こっているんだなと思わされたのだが、 後からそのエネルギーが阪神大震災の約1600倍と知った時に改めてもの凄い地震が起こっていたんだなと思わされてしまった。
だが、最初に報じられた被害者の数は、1万人弱だったと思う。 地震のイメージからすると人身被害はかなり小さかったのかなと思い、何となく良かったななどと思ったりしていたのだが、その後の報道から被害者の数はどんどんと増加してゆき、1ヶ月経った26日の段階で死者・行方不明者の数は29万7千人となり、 28日には30万人を超えているともされている。
この巨大な地震は地震を発生したインドネシアだけでは無く、インド洋沿岸諸国の広い範囲に大きな被害があった事を思い知らされる。そして、 被害の中心的な要因となったのは地震の揺れよりも津波であった事にまた大きく驚かされた。

地震のニュースが報じられた時、津波が発生していた事も報じられていたのではないかと思うが、その当時は津波については殆ど気にしていなかった。その時には、 津波があの様な大きな被害をもたらすものであると言った意識を全く持っていなかったから。
また、津波と言うのは単に高くなって陸地に押し寄せてくる波と言ったイメージを持っていたが、そうでは無くて地震の揺れによって盛り上がり、陸地を襲ってくる海その物だったらしいのだ。
そして、第一波、 第二波、第三波と立て続け手に何度も襲ってくる性質を持っているらしく、一波よりも二波、二波よりも三波と後になる程その威力は増していく可能性をもっているらしい。
この地震では三波の大津波があった様だが、 中でも二波が最も大きかったと見られている様だ。

また、内陸を飲み込む様に襲った津波の最初の速度は100m走のランナーと同じ速さがあるらしく、その破壊力は凄まじいと思われる。
僅か1mの高さでも木造住宅は半壊され、 2mの高さとなれば全壊すると言われているのだから。
今回の地震ではインド洋沿岸の東アフリカ諸国を2mの津波が襲っているらしく、インドやインドネシアなどアジア諸国には全て3m以上高い所でも10メートル前後の高さだったろうと思っていた。
だが、1月21日から日本の合同調査団によって行われている現地調査によって、インドネシアのスマトラ島北部では10階建てビルに相当する34.3mもの大津波があり、 更には同じ調査団による調査か否かはハッキリとはしないがスマトラ島北部バンダアチェ西海岸では34.9mもの大津波があった事が判明したらしく、海岸から2キロも離れた内陸でも、12mもの大津波が襲っていた事が判明したという。

インドネシアやタイなどには有名なリゾート地が多かったらしく、地震が発生した時期には世界各国から多くの観光の人々が訪れ、地震が発生してから津波が襲ってくるまでに多くの人々が海岸沿いなどへ外出していたのではなかろうか。
地震が発生してから到達するまで、速い地域でも幾らか時間が掛かっているのではないかと思う。数メートルも盛り上がり大津波となって突然に襲ってくる海から、完全に逃げきれた人はどれだけいたのだろうか。この大津波によってインド諸国の人々だけでは無く、 日本やヨーロッパ諸国その他の国々の人々も多く被害にあっている。

大津波が街中を襲う場面の映像がニュース番組でよく報じられていた。
その模様を観た時、非常に驚かされてしまったが、その場にいた人々は驚きと同時にかなりの恐怖を感じていたのではないだろうか。 これまでどうって事は無いと軽く見ていてしまっていた津波を、実際は物凄い破壊力を持っている物だったんだと映像を通じても感じさせられたのだ。直接あの津波と接してしまった人々の感じさせられた恐怖は、極めて高い物だったのではなかろうか。

日本では今世紀前半に南海地震が再び発声する可能性があると言われている。この南海地震でも大津波は発生するとされているが、その時には内陸にはどれだけの被害をもたらしてしまうのだろうか。
過去に、インド洋では津波が発生した事は余り無かった事から津波への警戒心は甘かったらしく、また津波に対応するシステムも作られていなかったらしい。
結果、日本では時々出ていると思うが、 津波に関する情報或いは津波警報がどの国からも出されていなかった様だ。
インドやスリランカなどは、地震が発生してから内陸へ到達するまでに1時間以上は掛かっていると思われる。もしも、津波が到達する前に素早く国内の人々に通達し、避難させる事が出来ていれば被害者は最小限に防げたのではないかとも言われている。この事から、 今回の地震は「人災」とも称されている様だが。
対して日本は、過去の体験から津波に対する対策はしっかりと行われているだろうと思う。しかし、今回の地震の様に10m以上或いは30m以上もの大津波が襲って来た時、その上陸を防ぐなんて不可能な事は間違い無いだろう。
被害者の数は今回の地震よりもかなり少なくなるだろうとは思えるが、都市が大きな被害を被る事は間違い無いのではなかろうか。そのように思うと、地震だけでは無く、津波にも恐怖を感じる様になってしまう。

今回の地震による大津波と直接に接しながらも無事に逃げきれた方々の中には、その体験談を書かれてインターネットで紹介されている方が多くいるのではないかと思うが、その中より篠原ちづるさんの 「スマトラ沖地震・津波被害者の手記」を紹介させて頂きたいと思う。
また津波に付いて詳しく書いてくれている防災システム研究所のスマトラ沖地震・津波災害も紹介させて頂きたいと思う。

今回の地震によってインドネシアなどインド洋沿岸諸国の被った被害は未曾有な物であった事は間違い無いだろう。
地震が発生した当日から被害を被った諸国への緊急援助を表明した国もあり、 今年1月6日にはインドネシアのジャカルタでスマトラ沖地震の復興支援緊急首脳会議が行われ、復興支援を国連手動で行う事、インド洋への津波警報システムの構築を柱とした共同宣言がされた。 地震発生から1月経った今でも、被害にあった多くの人々が生活に苦しめられていると思われる。
復興するまでには数年の時間が掛かる事は間違いないのではなかろうか。だが、 少しでも早く復興仕切れる様に世界各国がしっかりと協力し合って活動してもらいたいと思う。
そして、1日でも早く、 被害にあった人々が、元の生活が出来る様にしてあげてもらいたいと思うのだが。

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